こんにちは。画家の宮島啓輔です。
今回は「アクリル絵の具で描いた作品の適切な保存方法と注意点を徹底解説」のテーマでお話して行こうと思います。
描き終えた後のアクリル画はその後の保存環境や下地などによって作品の状態が変わってきます。
元々、アクリル絵の具は壁画を描くために開発された塗料なので他の絵の具や画材に比べて比較的耐久性もありますが、作品をしっかりと保存して行く上で意識するべきポイントを解説して行きたいと思います。
絶対に作品画面同士をくっつけてはいけない
アクリルは乾いた後でも作品同士をくっつけた状態で置いておくと画面同士が癒着してしまう性質があります。
一回絵の具同士が癒着してしまうと元の綺麗な状態に引きはがすことはほぼ不可能です。
また、少し乾いた後にも粘着力の感じられるタイプの保護ニスを塗って直接引っ付けておくとより癒着がひどくなります。
できれば個々の箱に分けて保存する事がベストですが、どうしてもスペース的にまとめて保存しておきたいという場合は間に保護の為の紙を挟むことで癒着を防ぐ事ができます。
アクリル画の温度と湿度の管理
アクリル絵の具はきちんとしたメーカーの商品であれば基本的に堅牢で変色などは起こしにくいですが万が一の高温多湿によるカビ発生や変色への最低限の環境の用意は必要になります。
一般的に絵画作品の保存に適していると言われている気温18度~24度、湿度40~60%の範囲内に保管環境を保つことが理想です。
特に梅雨などは湿度が高く、キャンバスや紙自体が伸び縮みしやすいので湿気が逃げやすい環境にする事が重要です。
害虫や埃に気をつける
紙類に描かれたアクリル画作品は紙魚のような害虫に食べられてしまうことがあります。
定期的に確認したり掃除したりして清潔に保っておく事をおすすめします。
また紙の作品は状況によっては匂いを吸収してしまう事もあります。
既に額を用意した作品であれば額箱に入れるか額装したままの保管によって作品自体が折れたり、汚れたりしにくくなるので一つの方法です。
直射日光から避ける
先程も書いたのですが元々アクリル絵の具は野外の壁画用塗料として開発された商品なので多少の光が当たる程度では色褪せたりはしないと言われています。
色ごとの耐光性の強さは絵の具自体に記載されている事が多いので使用する前に確認してみましょう。
色によっては退色しやすかったり黄ばんだりしやすい色もあるので良い状態で作品を保存して行きたい場合は直射日光をなるべく避けた保管や展示がおすすめです。
UVカット用の作品保護ニスやアクリル板が販売されているのでそれを使用することでも作品への紫外線の影響を防ぐ事ができます。
作品保護のためのニスは画面に光沢・半光沢・マットの種類のあるリキテックス商品のものがおすすめです。
最後に
アクリル絵の具は他の水彩画や染料系の作品に比べると比較的保存しやすい特徴を持っていますが気候や誤った保存方法によっては
せっかく時間をかけて描いた作品が無残な姿になってしまったなんてことが起こりうるので注意が必要です。
それでは最後まで読んで頂きありがとうございました!