こんにちは。このサイトを運営する画家の宮島啓輔です。
絵を描く際、使う絵の具の種類によって作品の仕上がりが大きく変わることをご存知でしょうか?
特に、アクリル絵の具とアクリルガッシュは似ているようで、その特徴や使い方が異なるため、目的に応じて使い分けることが大切です。この記事では、アクリル絵の具とアクリルガッシュの違い、それぞれの適した使用方法、そして耐久性に関する注意点について詳しく解説します。
アクリル絵の具とは?
アクリル絵の具は、乾くとツヤが出る絵の具で、透明感があり、色を重ねることができるのが特徴。水で薄めることができ、薄めた色を塗り重ねることで、奥行きや立体感を出すことが可能です。また、乾燥が非常に早いため、短時間で次の色を重ねられるため、作業のスピードも上がります。
さらに、アクリル絵の具にはアクリル樹脂が多く含まれており、乾燥後に非常に強固な膜を形成します。そのため、耐水性や耐光性に優れており色が褪せにくく、鮮やかさを長く保つことができるのも魅力の一つです。
使用する時の水の量を多くしたり少なくする事で、水彩画のような表現から油彩画のような立体的な描き方まで色々可能です。
↓混ぜるメディウムによっても砂のようにしたり、レリーフのようにしたりする事もできます。
比較的絵画の歴史の中でも発明されたのが新しい絵の具ですが、使いやすさと表現の幅広さからかなり広く普及して世界中で使用されています。
アクリルガッシュとは?
一方、アクリルガッシュは、乾燥するとマットな(つや消し)仕上がりになる絵の具です。
ツヤがなく。顔料が多く含まれているため、色が鮮やかに際立ち、コントラストが強くなりがちです。特にポスターやイラストなど、はっきりとした色の表現が求められる場合に適しています。
ただし、アクリルガッシュにはアクリル絵の具ほど多くのアクリル樹脂が含まれていないため、耐久性がやや低めで長期間の使用や保存には注意が必要です。
アクリル絵の具とは簡単に説明すると、色がついた顔料とそれに定着力を持たせる糊の役割を果たすアクリル樹脂によって構成されています。これが油彩だとアクリル樹脂の部分が油になり、水彩だとアラビアゴムになります。
そのためアクリルガッシュの場合、アクリル絵の具に比べて糊であるアクリル樹脂の量が少なくなるので塗った後にヒビが入ったり、剥がれたりするリスクも高くなります。また、顔料が多く含まれていて不透明で下の色が透けないためアクリル絵の具特有の透明感のある表現をする事は難しくなります。
アクリルガッシュはその特性からコピーして使用するデザインやイラスト系に用いられる事が多く、原画作品として後世に残したり、人の手に商品としてそのものが渡る可能性のある絵画作品にはどちらかというと向いていません。
原画そのものよりデータ自体に価値があるものへの使用がおすすめです。
耐久性に関する注意点
アクリル絵の具は元々壁画ように作られた事もあり、アクリル樹脂が多く含まれているため乾燥後に非常に強固な膜を形成し、耐久性が高いです。基本的には水や紫外線に対しても強く、作品を長期間保護するのに適しています。また、屋外に展示する作品や、頻繁に触れる可能性のある作品にも耐えられるため、アクリル絵の具はその耐久性の高さで選ばれることが多いです。
一方で、アクリルガッシュはアクリル絵の具ほどの耐久性はありませんが、その代わりに不透明でマットな質感と発色の良さが魅力です。
アクリルガッシュを使用する際には、特に長期間保存する予定の作品や、頻繁に触れる場所に展示する作品には注意が必要です。アクリル樹脂の配合率の低さから時間が経つと色が褪せたり、絵の具が摩耗する可能性があります。
使用別用途
アクリル絵の具が向いている時
- ツヤや温かみのある仕上がりにしたいとき。
- 透明感や重ね塗りを楽しみたいとき。
- 長期間保存する作品や、屋外に展示する作品(ライブペイント等)を描きたいとき。
- 耐久性の高い保管用の絵画作品を作りたいとき。
アクリルガッシュが向いている時
- ツヤのない、マットな仕上がりにしたいとき。
- 鮮やかでくっきりとした色を求めるとき。
- 長期保存予定の無い作品。
- イラストやデザインなど。
最後に
今回は、アクリル絵の具とアクリルガッシュ、それぞれの特徴や使い方、そして耐久性について解説しました。どちらの絵の具にもそれぞれの特徴があり、作品のスタイルや目的に応じて使い分けることが大切です。
アクリルガッシュ自体がかなり脆い絵の具というわけではありませんが、長い目でみた時に何が自分の理想にあっているか考慮して使用する事をおすすめします。
また、ヒビ割れにくいアクリルガッシュ絵の具として、有名アクリル絵の具メーカーのリキテックスからガッシュ・アクリリックプラスというものが販売されています。
最後まで読んで頂きありがとうございました。