こんにちは。画家の宮島啓輔です。
私は普段たくさんの色を細密に使った極彩色な作品を多く制作していますが、同じ絵のタッチで青系色のみを使用して描いた青のシリーズ作品も多く制作してきました。
普段のカラフルな作品を制作する中でも、深く沈んだ藍色から爽快で澄んだ水色まで青色だけで数十色の絵の具のチューブを使い分けています。青色を使うことで作品全体を引き締めたり、ミステリアスで落ち着いた雰囲気を出す事が出来ます。
今回は青色で描かれた絵画が持つ心理的な効果についてお話したいと思います。
神秘的で高級感のある印象を与える
昔からアート業界には聖母マリアのマントには神秘的なウルトラマリンブルーと呼ばれる青色を使用するルールがありました。
昔のヨーロッパなどではウルトラマンブルの原料となるラピスラズリの鉱石がアフガニスタン周辺でしか採掘されず、金と同じ程の価値があり高価なものとして扱われてきました。
フェルメールの代表作【青いターバンの少女】のターバンの青色にも使用されている色です。
深みのあるウルトラマンブルーで描かれた作品は荘厳で神秘的な雰囲気と同時に引き締まりを感じる事ができます。
ウルトラマンブルーを基調に青龍を描いた小さいサイズのこの作品は現在売れていったので手元には無いですが、豪華な細工の施された荘厳な宮殿のような空気感をイメージしています。
幸福や平和の象徴
ベルギーのメーテルリンクの童話「青い鳥」から青い鳥は幸せや幸福のしるしを表すようになりました。
実際、青色は精神を安定させて安らぎを与える効果があると言われており、ゆったりとした時間を作り集中力を高めやすくなります。そのため、勉強部屋や書斎などに飾ると仕事運を高めてくれる可能性が高くなります。
青色にはセロトニンが分泌されやすくなり精神が落ち着きやすくなる効果があると言われていて、青色のペンで勉強すると記憶が定着しやすくなる噂もここから来ています。
また青色から思い浮かぶ海、空と青色のおおらかで平和なイメージを含めてこのクジラの作品は描いています。
深みのある濃い青色を使用することでおおらかでずっしりとした平和の表現ができ、透き通った水色は爽快で晴れやかな希望を持ったイメージを表す事が可能です。
このような安心感を感じられ、リラックス効果のあると言われる青色は患者のストレス軽減の効果から病院で使用されたり、犯罪率低下の観点から青色の街灯設置などの活動が行われています。
冷たさと硬さ
氷山や深海をイメージした時の青色から、組み合わせによっては青色に金属のような冷たさや硬さのあるクールな印象を持たせることが可能になります。
パブロピカソの親友が死亡したことがきっかけとなって制作されたスタイルの一つでもある「青の時代」は生と死や貧困、孤独を青を基調として表現しました。
使い方によっては寂しさ、悲しみ、憂鬱さなどを恐怖感を感じる世界観を連想させる効果があります。
最後に
青色に一番イメージの近い水が氷や水蒸気に形を変化させるように青色も組み合わせやモチーフによって安定してリラックスしたイメージから氷のような硬さまで青系色のグラデーションだけで幅広い表現をする事が出来ます。
私は青色は他の色に比べると色の深み、澄んだイメージからネガティブなイメージまで与える印象の幅広さ等が非常に奥深い色だと思っています。
絵を描く方や絵を飾りたい方は色彩が人に与える印象を考えてながら作品の空気感を思考錯誤してみることも一つの方法です。