伊藤若冲はどんな画家で何をした人?生涯や代表作などについて簡単に解説

アートの歴史

こんにちは。画家の宮島啓輔です。

私は、普段画面を埋め尽くすような細密な絵柄の作品を描いているのですが、伊藤若冲も細密なタッチで動植物を描いた作品を残しており、共通点を個人的に感じる画家でもあります。

高い技術力で描かれた日本画は圧巻で、美術の教科書で見たことのあるという人も多いかもしれません。

今回は、日本の江戸時代を生きた奇才画家の伊藤若冲の生涯や代表作などについて簡単にお伝えして行きたいと思います。

伊藤若冲の生涯年表

1716年:京都にて生誕。

1738年:22歳、家業の青物問屋「桝屋」の家業を継ぐ。

1755年:39歳、家業を弟に譲り、隠居して絵に専念するようになる。

1757年:『動植綵絵』の制作を開始。

1765年:50歳、石峯寺の釈迦三尊像と五百羅漢図を完成させる。

1770年:55歳、相国寺の方丈襖絵を手掛ける。

1788年:京都の天明の大火で多くの作品が焼失。

1795年:80歳、友人であった円山応挙が死去。

1800年:85歳、京都にて死去。

伊藤若冲はどんな人?

伊藤若冲は、江戸時代の中期に活躍した日本を代表する画家の一人です。

彼は1716年、京都の裕福な青物問屋「桝屋」の長男として生まれました。家業を継ぐために若い頃から商売をしましたが、人を避ける性格だったこともあり、結果的に絵を描くことに情熱を注ぐようになります。

39歳の時に弟に家業を譲り、自らは絵画に専念する道を選びます

彼が絵に取り組むようになった背景には、幼い頃から自然や動物に対する深い興味があったと言われています。

人と関わる事は避ける性格でしたが、優しく興味を持っていたという話が残されいます。

若冲は動植物を緻密なタッチで描く事で知られています。

特に注目されるのは、彼の代表作である『動植綵絵』です。

これは、30枚から成る大作で、様々な動植物を圧倒的な精度で描かれた作品群です。

鶏や鯉、草花などが極めてリアルかつ鮮やかな色彩で描かれており、その緻密さは神業です。この作品は若冲が約10年間の長い歳月をかけて完成させたと言われています。

当時の彼は、伝統的な絵画技法を学びつつも、他に類を見ないような表現でかなり奇才です。

例えば、彼の作品には大胆な構図や幾何学的なパターンが見られ、それまでの写実的な日本画とは異なる斬新な表現が際立ちます。

また、若冲は色彩にもこだわり、普通の絵具では満足せず、自ら植物や鉱石から絵具を作り出すほどでした。炭には最高級のものを使用し、海外産の顔料を使用した絵の具で中国の特別な紙に描いていたと言われています。

伊藤若冲の財力が大きかったからこそ実現した絵画作品でもあります。

たとえば、若冲は、作品を売ることよりも描くこと自体を楽しんでいたと言われています。彼は寺院や友人の家に自らの作品を寄贈したりと、名声を得ることよりも、絵を通して人々に喜びを与えることに意義を感じていました。

世間の人が楽しむような娯楽にはあまり関心がなかったと言われています。

また、彼は相国寺のために「釈迦三尊像」や「五百羅漢図」を描いた際、数えきれないほどの羅漢像を細かく描写し、その驚異的な忍耐力と集中力が評価されています。

裕福な環境だったので絵を売る必要が無かったと言われており、作品の制作締め切りを気にする必要も無かったので描きたいように突き詰めて描けたとされています。

晩年の若冲には困難な時期もありました。1788年、京都で天明の大火が発生し、若冲の多くの作品が焼失してしまいます。

しかし、彼はその後も絵を描き続け、創作意欲を失うことはありませんでした。

80歳を過ぎてもなお、筆を持ち、静かな余生を過ごしたようです。

1800年、85歳で生涯を閉じました。

伊藤若冲の代表作「動植綵絵」(どうしょくさいえ)

『動植綵絵』は、伊藤若冲が約10年かけて完成させた全30幅の連作で、様々な動植物を色鮮やかに描いた作品群です。

大部分が高い保存状態で現代に伝わっており、国宝にも指定されています。

鶏、虎、象、魚、花、野菜などが描かれており、それぞれが非常に繊細に表現されています。

『動植綵絵』の作品群は、京都の相国寺に寄贈されたものですが、現在は宮内庁に所蔵されており、一般公開されることもあります。

伊藤若冲の代表作「群鶏図」(ぐんけいず)

伊藤若冲というと鶏のイメージが思い浮かぶ人も多いほどの、もうひとつの代表作に「群鶏図」があります。

若冲は、庭に鶏を放って、じっくり観察して数多くのスケッチをしました。

背景は比較的にシンプルで鶏本体が強調される構図になっています。

鶏の姿勢や筋肉、羽毛の質感なども一枚一枚丁寧に緻密に描き込まれており、動きや習性を細かく観察していた成果が反映されています。

最後に

今回は、伊藤若冲について簡単にどんな人生だったかや代表作などについて解説してみました。

かなり細かく描き込まれていながらも綺麗にまとめられたインパクトある作品を残した画家です。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

プロフィール
この記事を書いた人

2006年3月生まれ幼少の頃より細密、極彩色な自分の脳内だけに存在する空想世界の絵をアクリル絵の具を主に様々な画材で1年に140点以上制作。作品サイズは数㎝のグッズから数ⅿの巨大アクリル画まで様々。高校1年生の時の個展開催以来二人展、グループ展等展示活動を続ける。ターナーアワード、Liquitex the challenge【小松美羽賞】等受賞多数。日々制作の幅は広がり続け、各地での展示、プロジェクトの実現を構想中

をフォローする
アートの歴史
をフォローする
極彩空想世界
タイトルとURLをコピーしました