アート作品のコンセプトとは。考え方や難しく感じる原因

絵に関する話

こんにちは。画家の宮島啓輔です。

今回は「アート作品のコンセプトとは。考え方や難しく感じる原因」のテーマでお伝えして行きたいと思います。

作品のコンセプトとは

作品のコンセプトとは、作家がアート作品を制作する際、作品を通して何を伝えたいか、何を意味したいか、どういう思いで描いたかなどの制作の基盤になる考え方の事を指す事が一般的かと思います。

コンセプト+実際に使う絵の具の技法などの表現によって大体の現代アートは構成されていると思いますがコンセプト表現のどちらに重きを置いているかは制作者のよってそれぞれ異なってきます。

例えば正体不明のアーティストのバンクシーなどは表現の方はステンシルと言うスプレーを使った割と簡単な技法を使っていますがコンセプト(文脈)などは反戦や平和などを伝えていると言われています。

特に現代アートと呼ばれる作品たちはそれ以前の装飾的な作品に比べてコンセプトの比重が大きいものが多い印象です。

作品コンセプトを難しく感じてしまう原因

私自身、音楽や実際に存在するものをテーマに制作することはたまにありますが、「このようなメッセージを伝えたい」や「こんな思想を表している」などの明確な思想を元にした制作をする事は少ないです。

私は「作品のコンセプトは何ですか?」と聞かれても好きなものをやりたいように描いただけなのでそこにこのような思想に基づいているなどのメッセージを込めようと思った事はあまりなく、言葉にできないからこそ絵にしたまでなのなのです。

やはりこの思想表現としてのコンセプトにはどうも難解な部分があります。

私のSNSのプロフィール欄には自分が何者かを伝えやすいという理由でアーティストや画家と書いてはいますが、思想やメッセージを作品にして表現するのはアーティストがやることであり、描きたいこと、美しいと思ったものを描くというのは絵描きの役割だと考えています。

言葉の意味合いに関しては、辞書にその通りに書いてあるわけではありませんが、描きたいものや美しいものを率直に表現したり鑑賞するタイプの人が作品を思想の伝達手段として考える事が難しく感じる原因なのだと思います。

またこの難解さや予備知識を持って作家のメッセージを鑑賞することが現代アートの基本になっているのだと思います。

作品コンセプトに後付け感が出てしまう原因

先程書いたようなとりわけ作品に文脈を持たせようとしない絵描きタイプの人が何か思想など無い状態で描きたいと思って作った作品完成後に無理にコンセプトを設定しようとすることが違和感を生み、後付け感が出てしまいます。

ただモヤモヤと形の見えない状態で制作する過程でコンセプトが作られて行くパターンや

後からコンセプトや意味を作品に持たせていく場合もあるので一概には言えませんが「絶対に何かのメッセージやコンセプトを作品に示さないといけない」の考え方は後付け感が出やすくなってしまいます。

タイプは無数にある

しかし先程から絵描きタイプと書いてきた美しいと思うものや描きたいものを描いたからと言うのも「作品の価値はメッセージや思想よりも作品自体の美しさを求める」というある種のコンセプトを持った唯美主義と言うものに位置付けられます。

代表作家がクリムトやモローなどの19世紀後半に盛んになった流れの一つです。

私自身コンセプトの言葉一つで表現や描き方に線引きをしてカテゴライズすることは少し違和感を覚えることもあります。

作品を制作する上ですべての表現の性質に優劣は無いと考えています。

作品本体かそこに付随するコンセプトのどちらに要点を置くかは個人によって異なりますが、

言葉で表せないものだからこそ「絵」として表現している部分もあるので必ずしもコンセプトありきの作品にしなければいけないという事は無いと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

プロフィール
この記事を書いた人

2006年3月生まれ幼少の頃より細密、極彩色な自分の脳内だけに存在する空想世界の絵をアクリル絵の具を主に様々な画材で1年に140点以上制作。作品サイズは数㎝のグッズから数ⅿの巨大アクリル画まで様々。高校1年生の時の個展開催以来二人展、グループ展等展示活動を続ける。ターナーアワード、Liquitex the challenge【小松美羽賞】等受賞多数。日々制作の幅は広がり続け、各地での展示、プロジェクトの実現を構想中

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