こんにちは。画家の宮島啓輔です。
私は絵を描いていく上での画力上達やアイデアの頭打ちのようなものは存在しないと考えています。
絵を描いていると、「もっと上手くなりたい」と感じるのは自然なことです。しかし、スキルやアイデアなどが「もうここまでかな」と、限界に達したように思う瞬間がやってくることもあるかもしれません。
そうした時期でも、私は、視点を少し変えることで、限界を突破していくことが可能だと思っています。
ここでの画力上達というのは、リアルに描く作品だけの事を指すのではなく色々な作風や活動のスタイルに当てはまる技量をどう伸ばすかという内容になります。
私の普段の制作の考え方なども交えて、いくつかの視点からお伝えして行きたいと思います。
成長より変化を意識する事で画力やアイデアの限界が無くなる
画力を向上させたいと考えると、抽象的な表現になってしまいますが、「成長する」事に集中しがちですが、視点を変えて「変化」に目を向ける事で結果としてアイデアの幅が広がります。
これは、どの技法やスタイルにも言える事だと思いますが基本的な画材の扱い方や感覚を掴むまでは成長や上達を意識して取り組む必要があります。
しかし、基本的な成長ラインを超えるとその基本にオプションを付けていくように「変化」ができるフェーズに進むと思うのです。
ひとつの例として、「デッサン」を挙げると、
まったくのデッサン未経験者の人の多くは、はじめて鉛筆を渡されてモチーフを描いてくださいと言われてもきちんと形が取れなかったりする事がほとんどです。
しかし、何か月、何年と練習してある程度見たものを描き起こせるスキルがつくと、その人には観察力や基礎画力が使えるようになります。
すると、そのスキルをさらに油絵の具、アクリル絵の具に置き換えたり、描くモチーフを風景画、人物画、植物画などに色々な表現に応用していく事ができるようになって行きます。
つまり、アイデアに限界を感じるということは「成長」と一直線に捉えてしまうことで知らないうちに幅を狭めてしまっていることが多いと思うのです。
これは、デッサンだけに限定した事でなく多くの事に言えることだと思いますが、新しいアイデアなどは常に何かと何かの要素のかけ算で生まれるものなので、まったく別の事を吸収したり軸をいくつか持つ事でも十分な刺激になります。
私であれば、基本的にはアクリル絵の具を使った制作が多いですが粘土を使って立体作品や雑貨を作ったり、制作にわざと使用する色の制限をかけたり等々
色々なタイプを持っているので一つのやり方に煮詰まりかけた時にひとつの方向性に固執してしまうことはありません。
目標を決める事で限界を感じてしまう
目標を持つ事自体は大切ですが、目標にとらわれる事が逆効果で自分を縛ってしまうことの原因になる事があります。
先ほどの、「成長」と一直線な方向で捉えすぎない方が良いという部分と重なるポイントです。
「この公募で評価されるために試行錯誤する」といった一時的な(目標)を設定する事も大切な状況もありますが、数年単位で見た時にすべてを目標やタスクで縛ってしまうと
達成が難しい時に限界を感じて本来好きで始めたものにネガティブなイメージを持ってしまうかもしれません。
そこで、目標は必要な時には立てる事も大切ですが、限界を感じるかもしれない時は、柔らかく捉えて成果よりもプロセスに重きをおく事でプレッシャーを軽減することができます。
一定の努力や試行錯誤は続ける必要がある
そのような、「変化」しつつ画力を伸ばしていく上で毎日少しでも「描く習慣」を続けることで発想も広がっていきます。
積み重ねは「完璧」や「毎日必ず」である必要はなく、1日数分でも手を動かしたりイメージを膨らませたり新しいものを吸収したりしていきましょう。
これは自分の要素の幅を広げる事に繋がります。
そうする事でスランプにも強くなり少しずつ描く力を伸ばしていけるようになっていくかと思います。
自分に必要なものは取り入れて変化【上達】
ここまでにお伝えしたように、色々な意味で自分の作品の幅を広げつつレベルを上げていくには、「自分にとって必要だ」と感じるものを柔軟に取り入れていく必要があります。
何の要素も詰め込んでいないゼロの状態から何かを生み出す事はできません。
そのため、世界観を構築したりするためには自分の中に貯めた要素を自分というフィルターを通していくことは重要なポイントになってくると思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。