こんにちは。画家の宮島啓輔です。
画家やイラストレーターが絵を描く時に、自分だけの個性や作風を出すにはどうすれば良いのか?と考えることがあるかと思います。
強い個性のある作風でなくても、美術界では実践人数の多いデッサンのような王道表現リアリズムな絵を描いている画家でも
作品を観たらこの作家とわかるような空気感の出し方、人が立ち止まるような作品の描き方はたくさん存在します。
今回は、
「【個性的で魅力的な絵】自分にしか描けない世界観のイラストを描く方法」のテーマでお話して行きたいと思います。
絵以外にもう一つ趣味を持つ
個性が薄くなってしまう一番ありがちなパターンは「絵を描く意欲」だけを中心に持って浅く広く手を出す形で、描きたいモチーフを探したり表面的な出だしだけを実践しようとする事により陥ってしまうことが多いです。
元々の画風に圧倒的な技術力や表現の豊かさを持ち合わせていて、色々な描き方への適応力の高い場合などは別ですが、そうで無い場合は
もう一つ自分の中に絵を描く事と同じくらい根中できる趣味を持つと良い場合があります。
例えば飛行機が好きな人は飛行機のプロペラやエンジンなどに深い造詣を持っています。
昆虫好きの人は虫の羽の色や飛び方、体の構造などをよく理解しています。
モチーフに対して深い造詣を持っている人が描く絵とそこそこの画力を持った人が見よう見まねで写して描いた絵とでは説得力や奥深さなどが圧倒的に違います。
これは見たものをそのままリアルに描けるかどうかということだけではありません。
例を挙げると、写真のようにリアルに描かれているわけではないのに、魚の生態や構造がわりやすくて温かみの感じるさかなクンの絵や
日本を代表する植物学者であり、朝ドラのモデルにもなった牧野富太郎の精密な植物画などです。
このような研究するレベルの学者の例ほどではなくとも何か得意分野と呼べるものを持って制作できる画家やイラストレーターは仮にリアルに描く技術力を持っていなくても何か他とは違う発見を持つことができます。
得意分野は複数持っていても構いません。
それぞれ方向性の違う得意を作品の中に集めてきて集合体のように作品を作り上げることもできます。
私の場合であれば花や野生動物などの自然物から
遺跡や音楽などの人の作った文化的なものなど元々絵とは関係なく興味を持っていたものが自分だけの世界観を構成しています。
制作という一回自分というフィルターを通して外側で形にする行為には必ず体の外からの情報や刺激といった材料になるものが存在します。
絵の原材料への向き合い方や取り入れ方を考えていくことで結果としての作品の見え方も良くなって行きます。
個性的なタッチや作品はすぐに作れてしまう
深い興味と時間を注いで自分の軸を固めて行く方法もありますが、即席でこれから描く絵を個性的な空気感の作品にしてしまうことは制限をかけることで以外と簡単に出来てしまいます。
例えば今から描こうとしている絵に使用する色を赤系色だけにしてみたり、筆の毛の部分を使わずに後ろの柄の部分だけを使った絵を描く等
最初に制作作業を限定的にしたり、簡単なコンセプトを作ってしまえばそれに沿って描くと自然な流れでは無いものの個性は作れてしまいます。
このような最初にある程度設計しておくやり方で発信していてこの絵柄と言えばこの人のポジションを取れると作戦としては勝ちになります。
世間にウケるものを作ったり、本来やりたい事に蓋をしつつも戦略的な部分もある程度は必要な場合もあります。
ただ、これは本当に自分のやりたい事=個性・世界観の部分を他人の評価軸に預けていることにもなります。
私は個性や世界観の根本は作者の意向や興味を持って気の赴いた先にあると思っています。
最後に
自分だけの個性や世界観を作品に出していく上で「個性を探そう」の考え方よりも「自分の興味は何か?」の思考をして突き詰めていくことでその先に何か自分や作品にとって有益な発見があります。
今回は、「【個性的で魅力的な絵】自分にしか描けない世界観のイラストを描く方法」のテーマで、自分の絵を含めた全ての興味や好きを大切にしようという事をお伝えしてきました。
最後まで読んで頂きありがとうございました。