サイケデリックアートとは?独創的な作品の描き方を紹介

描き方

こんにちは。画家の宮島啓輔です。

私は普段このような色を多用した極彩色な作品を数メートルのものから数センチのサイズのものまで年間140点以上制作しています。

今回はサイケデリックアートそのものの概要ついてと描き方を中心に書いて行きたいと思います。

サイケデリックアートとは?

このサイケデリック(英psychedelic)の大体の意味はLSDやアヤワスカなどの幻覚剤を服用することによって得られる極彩色や幾何学のイメージを意味している言葉です。

mandalas, colorful, abstract

1960年代後半以降幻覚剤LSDから得られるイメージを音楽やアートで表現するムーブメントがアメリカ西海岸を中心に始まり日本を含めた世界中で広がりました。ベトナム戦争泥沼化などが追い打ちをかけて反戦や自由を求めて「愛と平和」を掲げて60年代後半に全盛を迎えましたが、1970年代半ば以降は戦争終結と共に衰退して行きました。

音楽面では作品はビートルズの「Strawberry Fields Forever」や「Lucy in The Sky With Diamonds」の曲がサイケデリックの影響を受けて制作された代表的な曲と言われています。

私のこの作品は「Lucy in The Sky With Diamonds」をテーマに描いた作品です。

アート面では日本の横尾忠則などがサイケデリックの代表的なアーティストとして挙げられます。

このような風潮は現在の感覚で行くとかなり異質なものに映りますが、当時そのような薬物などの規制が緩かったことや社会が色々な問題で混乱していた事も背景にあると言われています。

ただ現在においてはそのような幻覚を伴う薬物は法律で固く禁止されており、私自身の作品も1960年代のサイケデリックムーブメントの音楽やアートの影響は一部受けていますが、自らが体験したことでは無いので本当の意味でのサイケデリックアートではないと言えます。

独創的なサイケデリックアートの描き方

サイケデリックアートがどのようなものかのイメージを持っている方は多いと思いますので私自身が作品制作の上で実践している事とイメージを掴みやすい方法を紹介したいと思います。

サイケデリックアートの資料をたくさんみる

横尾忠則、田名網敬一、ピーターマックス、アレックスグレイ等、「サイケデリックアート・ミュージック」で検索すると色々なタイプの作品やポスター、レコードジャケットがネット上だけでいくらでも観る事ができるのでその中から自分が好きなタイプの作品や作家、または曲を見つけて深く調べて影響を受けて行くと良いですね。

インプットの量が多ければ多いほどアイデアのバリエーションが豊かになってくるのでそこから作品のイメージをスケッチブックに描き移しながら膨らませていきましょう。

原色を使用する

原色とは赤、青、黄の三色を指し、混ぜ合わせることで色を作れる元になる色のことです。加えて緑や紫、オレンジなど原色に次いで彩度の高い色の使用が重要です。原色を混ぜないと作れない色は自分で色を作るより原色をチューブから出した混色していない状態で描いた方が色にムラが出ず発色が綺麗です。

私の場合も特別な場合を除き混色はせず、使用する色ごとにチューブを持っていますが、一から始める場合は12色か18色のセットになっているものがおすすめです。使用する絵の具は速乾が魅力のアクリル絵の具かアクリルガッシュをおすすめします。

細かい模様などを描く場合は不透明アクリルガッシュをおすすめしますが、アクリル絵の具より耐久性が劣るので盛り上げた描き方などは控えた方が良いです。

その他貼り絵やステンドグラス、デジタルなど細密に色を配置できる表現方法はたくさんあるので自分に合ったものを選んで頂ければと思います。

補色を使って画面を強調する

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補色とは上画像のような色相環と言われる色を輪に並べたものから反対に位置する二色の事を指します。例えば青の補色は黄色で、赤の補色は青緑色などです。コントラストの出し方はこれだけではないですが、補色同士を並べて使用すると画面上での彩度が高まり引き立て合うので色がチカチカしたような表現ができます。

元となるモチーフの本来の色の補色を使用したり、影や輪郭も模様や普通ではありえない色の組み合わせで描く事で、より色が引き立ちます。

アプリを使ってサイケデリックアートを作る

これは完全デジタルの描き方ではないですが、先程の普通ではありえない色使いのイメージを持ちやすくなり、作品の画像補正などにも役立つ方法になります。

画像の色味やを変えられるものであればどのツールでも大丈夫ですが、私の使用しているアプリはAdobe Photoshop Lightroomになります。本来は写真の管理や加工に使用するアプリですが既に描いたアナログ作品の画像の露光量や彩度、色温度等を好きなように変更するとサイケデリックな色味になります。

桜を撮影した画像を加工

これだけでも画像としては綺麗ですが、アプリの使用は基本無料で、アナログ作品制作の為の資料としても使えます。

サイケデリックアートを描くためのおすすめ練習法

サイケデリックアートというと先程にも書いたような極彩色の幾何学模様が渦巻いているイメージを持っている方が多いと思いますが、いざ描きたいと思っても色々難しいと思う事も多いと思います。

私自身が普段作品制作をする中で無心になって模様だけを描いていたい時などに息抜き感覚で制作しているのが曼荼羅アートです。

曼荼羅アートはセラピー効果があり同じパターンを繰り返すことで心が落ち着き右脳が活性化すると言われています。自然と模様やパターンのバリエーションが増えるのでサイケデリックアート制作の練習としての目的の他にも奥の深いアートです。

曼荼羅作品の一部

私の曼荼羅作品は完全フリーハンドで不規則感を持たせて描き、渦巻いたようにしてサイケデリック感を出す事が多いです。上の画像の作品は飾れるように丸型のフローティングキャンバスを使って描いていますが何に描くかや形は自分に合ったものを選びましょう。

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最後に

今回はかなりマニアックな文章になりましたが、サイケデリックが生まれた時代背景や文化などは調べるとかなり奥が深いので興味のある方はアートだけでなく音楽や思想などにも触れてみると良いと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

プロフィール
この記事を書いた人

2006年3月生まれ幼少の頃より細密、極彩色な自分の脳内だけに存在する空想世界の絵をアクリル絵の具を主に様々な画材で1年に140点以上制作。作品サイズは数㎝のグッズから数ⅿの巨大アクリル画まで様々。高校1年生の時の個展開催以来二人展、グループ展等展示活動を続ける。ターナーアワード、Liquitex the challenge【小松美羽賞】等受賞多数。日々制作の幅は広がり続け、各地での展示、プロジェクトの実現を構想中

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