こんにちは。画家の宮島啓輔です。
アクリル絵の具関連の道具はかなりの種類が販売されています。中にはそこまで必要のないものも多く、「何を揃えればいいかわからない」という人も多いのではないでしょうか?
実際、私も現在まで複数のメーカーからたくさん画材を購入して使いやすい商品もあればそうでないものまで色々でした。
そこで今回は、「アクリル絵の具初心者が最初に用意するべき道具を解説」のテーマで、かなり厳選した
絵の具・筆・パレット・支持体(何に描くか)・その他必要な補助道具の5つをお伝えしていきたいと思います。また、最後に試しにほんの少しだけアクリル絵の具がどんなものかだけ使用したいという人の為の方法も紹介していきます。
アクリル絵の具自体の特徴や特性については以下の記事で解説しています。↓
目次
【アクリル絵の具の選び方】初心者におすすめの絵の具
リキテックスレギュラータイプ
アクリル絵の具は色々なメーカーから販売されていますが、リキテックス社のアクリル絵の具が多くの店舗で販売されていて品質も安定しています。リキテックスアクリル絵の具の中にも複数の種類の商品があるのですが、主に入手しやすいものを挙げると「レギュラータイプ」「ソフトタイプ」の2つがあります。
レギュラータイプ・・・練りの少しかたい絵の具。使う水の量によって油絵風から水彩絵の具風の表現まで色んな表現ができます。
ソフトタイプ・・・チューブから出した時はレギュラータイプよりもサラサラしていてのびが良く濃い状態で塗り広げる事ができます。
正直どちらからはじめても使いやすいのですが、個人的にはレギュラータイプがおすすめです。
ソフトタイプはやわらかい絵の具なのでメディウムなどを使用しない限り盛り上げたりはできませんが、レギュラータイプはほぼ何にでも描けて練りがかたいので油彩のような筆跡を残した描き方や水分量を調節したらソフトタイプのような描き方も可能になります。
何から買えば良いかわからないという時はリキテックスレギュラータイプの12色セットからはじめてみましょう。
ただ、レギュラータイプはアクリルガッシュとは異なり不透明でマットなイラスト的な表現は難しいです。
リキテックスレギュラータイプは私の作品にもよく使っています。
内容量が60mlや120mlなどのサイズも販売されていますが、一番最初は20mlサイズのセットなどが良いと思います。
他のメーカーよりも少し価格は高いですが品質はかなり高いです。
リキテックスベーシックス
この絵の具はひとつ上に紹介したレギュラータイプと同じリキテックスメーカーから販売されている商品です。
レギュラータイプほど濃度の高い表現は少し難しいですが、価格の割に大容量で使い心地も良いです。広い面を塗ったりする事に向いており、慣れてくるとかなりコスパの良い絵の具ですが、基本118mlチューブの販売で、レギュラータイプのように少量のサイズが無いので試しに購入する場合には不便に感じるかもしれません。
内容量70mlチューブも販売されていますが、店舗においていない事も多いです。
ロイヤルターレンスのアムステルダム
この絵の具も上のリキテックスベーシックスと同じ大容量絵の具です。リキテックスベーシックスに比べて取り扱っている店舗が比較的多いのと少量サイズでの販売もされています。
使用感は上のリキテックスベーシックスとほぼ同じで価格の割に質が高く、品揃えや容量にもよりますが色数もかなり多いです。
ただ、発色、透明度などは最初に紹介したリキテックスレギュラータイプにはやや劣ってしまうので私は細部はレギュラータイプで描き、広い面を塗ったり絵の具をたくさん使うライブペイントの時などに使用しています。
コスパ重視で絵の具を購入したい人には向いている絵の具です。
一番最初に紹介したレギュラータイプの価格が店にもよりますが、20mlチューブ一色で大体300~500円程で12色セットだと3000~4000円程で販売されているところがほとんどです。
リキテックスベーシックは118mlで700円前後、アムステルダムアクリル絵の具は120mlチューブで700~800円程で販売されています。
どの商品も価格に見合った品質だと思いますが、少しだけ試したい方や本格的に描くかどうかわからないとう人のための方法を最後の方にお伝えしています。
おすすめの筆の種類
ヴァンゴッホ筆
筆も掘り下げると動物の毛を使っているものから特殊な形をしたものまで様々ですが、迷ったら「ヴァンゴッホの筆」がおすすめです。
平筆から細かいところを描き込む細い筆まで種類は様々で価格も安く、一番最初はこれを使用して問題無いと思います。目立ったクセのある筆では無いのでアクリル絵の具を塗るには使いやすく私もこの筆を愛用しています。
必要なものが揃った6本入りのセットが大体2000円程で販売されています。
指や竹串も立派な画材
私が絵を描くときに筆以外にも色々使って描く事がよくあるのですが、その中に指と竹串などがあります。
指を使うと筆では出せないようなムラや温かみが生まれて独特な質感が出せますし、竹串や筆の柄の部分を使って絵の具を画面に乗せていくと点描みたいな表現ができたり、細い線を引いたりする事もできます。
その他にも顔料マーカーやペインティングナイフ等色々使うのですが、筆だけに頼らなくとも色んな面白い描き方はできます!
アクリル絵の具用パレットの選び方
アクリル絵の具に使うパレットは、描き終わった後に剥がして捨てられる紙パレットが一番効率が良いです。
パレットというと木製のパレットを想像するかもしれませんが、アクリル絵の具は乾きが非常にはやいので一回固まると結構取りにくくなります。そのため、簡単に処理できるものほどパレットに向いています。
お金をかけない方法として、絵の具が吸収されにくい紙パック・プラスチックのトレーなどでも代用できます。段ボールなどを使用する場合は、そのままでも一応使えますが気になる人はサランラップなどを巻いて使用すると絵の具が吸い込まれないのでより使いやすくなります。
特に野外で描く場合や荷物をできるだけ減らしたい時などにサランラップを巻くだけで、他を汚さずにパレットが作れるのでかなり便利です。
【キャンバス・紙・木製パネル】何に描くべき?
アクリル絵の具はほとんどものに描く事ができますが、一般的な支持体(描く物)は主にこの3つになるかと思います。
キャンバス
絵画というと最も一般的な支持体は、キャンバスのイメージが大きいかと思います。耐久性や重さなど総合的にみたら布でできたキャンバスを選ぶと良いと思います。キャンバスには木枠の側面に釘を打って作られたものと裏に釘が打たれたものの2つがあります。
横に釘が見えているとかっこ悪く見えてしまう事がありますが、裏に釘の打たれたものを選んだ方が側面に色を塗っておくと額装しなくても見栄えは良くなります。
キャンバスは布を使って作られているので、下地処理がされているものでも細密な表現をすると布目が目立ってしまう事がありますが、こだわる場合は購入後に自分で下地材を塗って調節可能です。
メリット・・・厚塗りしていなければ巻いて保存する事ができる。
既に下地処理されたものが販売されていて商品の種類も豊富
デメリット・・・布の目が細密表現をする人にとっては不便
張られたものに描いていると画面がたるんでくる
紙
水彩絵の具や鉛筆、ペンなど他の画材にも使われる機会の多い支持体だと思います。
キャンバスやパネルほどかさばらずに軽く保存もしやすいです。また、紙の価格はキャンバスやパネルに比べて安いので失敗した時に捨てて描きなおしやすくなります。
デメリットとして紙特有のにじみの表現ができますが、キャンバスやパネルほどの耐久性は無いの強く描くと破れてしまう可能性が高まります。水を多く含ませて描きたい時は乾いた時に紙が波打たないように水張りなどをすると描きやすくなります。
紙にアクリル絵の具で描くときは、油絵の具のように盛り上げる描き方よりは水彩絵の具のように軽めのタッチで描く方が向いているかと思います。
メリット・・・軽くてかさばりにくい
にじみの表現が簡単にできる
一枚あたりの価格が安い
デメリット・・・耐久性、耐光性が弱い
木製パネル
画材屋に売られている木製パネルには、シナベニヤパネルとラワンベニヤパネルの二種類があります。
詳しくは上の記事でお伝えしていますが、ラワンベニヤパネルは描いた後に変色する可能性もあるので基本的にはシナベニヤパネルを使用する事で問題ありません。
木製パネルは枠に合板をくっつけたもので、一つ購入しておくと紙を張って描いた後は剥がすことで使いまわすこともできますがここでは木製パネルに自分で下地剤を塗る方法についてです。
木製パネルは、紙やキャンバスに比べてコンパクトに保存する事が難しくサイズが大きくなると重くなるので運ぶ際には少し大変になります。また、耐久性や発色の面から木の上にそのまま描くよりはジェッソと呼ばれる下地剤を塗った方が格段に良くなります。
私はよく小さいサイズの作品によく使用するのですが、木製パネルはキャンバスに比べて表面が平滑なので、細密表現がしやすいです。
また、裏張りのキャンバスと同じく側面まで色を塗ってしまうと飾る時に額装していなくても見え方はよくなります。
メリット・・・耐久性が高い
表面が平滑なので細密表現ができる
描いている時に画面が歪んだりせず、安定している
デメリット・・・重い
ここでは主流は三つを紹介しましたが、それぞれに特性があるので自分の描き方や環境に合ったものを選んでいきましょう。詳しくは下の記事で紹介しています。
筆洗バケツと補助道具
アクリル絵の具は乾きがはやいので使い終わった後の筆を洗うための水入れと筆の水分を取るための紙を用意しておく必要があります。
筆を洗うためのバケツも専用のものが画材屋などで販売されているのでそれを購入しても良いですが、代用したい場合は筆が何本か入れれて絵の具を落とせるだけの水が入れば何でも良いと思います。
私は、普段はインスタントコーヒーの瓶を使用しており大きい作品を描く時はバケツ、外で絵を描く時は蓋がついていて水が入った状態でも持ち運びできる空になった海苔の容器を使用しています。
筆の水分や絵の具を拭き取る紙には、キッチンペーパーやティッシュペーパー、雑巾などで大丈夫です。水を吸っても破れにくいものの方が使いやすいです。
アクリル絵の具少し試したい人用:100円均一で揃える
ここまで初めてアクリル画を描くための本格的な道具を揃えるには何を選べば良いかについてお伝えしてきましたが、代用できるものは身近なものを使用してもそこそこなお金がかかります。
描き続ける場合であれば全然価格に見合った初期投資になりますし、そこから欲しい画材があれば買い進めてバリエーションを増やす事もできますがちょっとだけアクリル画がどんなものか触れたいという人にとっては100均で揃えてみるという事もひとつの手段です。
大きい規模の100均になると今回紹介したようなアクリル絵の具から筆、画用紙、筆洗用バケツのような画材が販売されている事が多いです。
数件訪れた100均の中にはキャンバスが販売されているところもありました。
100均であれば全て揃えても2000円は超えないかなと思います。
もちろん100均ということでコストを抑えて製造されているため画材屋で売られているような商品に比べると品質や使い心地は劣りますが、100円とは思えないくらいの事ができる商品ではあります。
詳しくは下の記事の中に書いていますが、100均アクリル絵の具は後から劣化する可能性があるので販売したり人にプレゼントしたりする場合は注意しましょう。
最後に
ここまで「アクリル絵の具初心者が最初に用意するべき道具を解説」の内容で厳選した画材をお伝えしてきました。
アクリル画関連の画材だけでも色んなメーカーから複数の種類の絵の具が発売されていてこだわりはじめるとかなり奥が深いので一番最初に購入する時はメジャーで手を出しやすいものからはじめて、制作を続けていく中で自分の型に合ったものをみつけていきましょう。
最後まで読んで頂きありがとうございました。