売れる絵と売れない絵の特徴とは【日本で自分で描いた絵を販売する】

絵に関する話

こんにちは。画家の宮島啓輔です。

アクリル画作品

日本で自分で描いた絵を販売しようとする際、まったく売れない原因として「売る環境」「売り方」「集客」等挙げられる課題は様々ですが

一番最初の課題として「日本で売れやすい絵を描いていない」という事が考えられます。

アートの世界に限ると、自分のやりたい事や独創性を優先させる事も重要ですが、そこに「販売」の要素を加えると、ある程度の売れ筋や需要を作品に入れる必要があります。

描きたいように描いた絵が需要とそのままマッチする場合もありますが、人が欲しがるという事はそこに何らかの理由があるからです。

ただ、ここで私の意見としてお伝えしておきたい事はビジネス的な面のみを意識して需要に特化している事はまったく悪い事では無いと思いますが、周りの判断に左右されて自分のやりたい事に蓋をしてしまう可能性を持ちます。

今回は、私が現在までリアル・オンラインの場で作品販売をしてきた実体験と実際に見聞きしたアート業界の流れなどを元に「売れる絵と売れない絵の特徴とは【日本で自分で描いた絵を販売する】」のテーマでお伝えして行きたいと思います。

日本で売れやすい絵の特徴

海外では絵を欲しいと思ったら家具感覚で購入されていくと言われていますが、日本の場合絵画作品は生活必需品では無いので明確な理由感情ありきの購入が多いです。

そして、「売れる絵」とはリアルに描けている絵だけではありません。

リアルに描く事は一つの表現方法に過ぎませんが、それ以前に観た人の心に刺さる何かやその絵に惹かれる魅力を持っている事が大切です。

そして、日本で作品が購入される際に一番多く意識されるポイントは「飾りやすさ」です。

どのような絵がそのような特徴を持つのかについて詳しく書きたいと思います。

【売れやすい絵の特徴】明るい絵

全体的に雰囲気の暗い色を使用した絵に比べて、原色を多く使った絵の方が売れやすい傾向にあります。

明るい色を使ってコントラストのあるタッチで描かれた作品は観た人にポジティブでプラスのイメージを与える事が多いです。

部屋に花を飾る感覚で「部屋の印象を明るくしたい」という思いから明るい色彩の作品が好まれやすいです。

【売れやすい絵】小さい絵

日本は狭い土地に多くの住宅が密集して建てられており、広大な土地と家を持つオーストラリアやアメリカなどの国に比べて全体的に家が小さい傾向にあります。

そのため50号、100号のような大きい部類の絵を飾る事のできるスペースを持つ家庭は少なく、F4号サイズ以下の小さい絵の方が好まれやすいです。

【売れやすい絵】花鳥風月の絵

花鳥風月とは自然の風物や美しい景色などを題材に描かれた絵や詩の事を指しますが、あくまで傾向ですが日本人にとって花や鳥の自然物を鑑賞する風習があり、評価が高いです。

昔から日本では掛け軸や生け花を家に飾る習慣があったのでそこからきているのかもしれません。

実際、絵画を窓に見立てて奥行きの感じられて自然を感じられる風景を選ぶ人や犬好きや猫好きのように特定の動物や植物の事が好きな人が作品に魅力を感じる事は多いです。

私の場合は、花瓶や鳳凰を描いた作品、家族それぞれの干支絵を描いた作品や守護動物、風水的な要素などから動物を描いた依頼作品などが人気です。

家族の干支絵作品

また、日本では縁起の良いとされる神獣や赤富士、フクロウなどがプラスの感情のイメージから好まれる傾向があります。

【売れやすい絵】所有者にとって特別感のある絵

所有者にとって特別感のある絵とは所有者に思い入れのあるモチーフや経緯で描かれた作品の事を指します。

先ほど書いた家族の干支絵シリーズもその一部ですが、所有者や依頼した人自身に関するモチーフやイメージカラーで描かれた作品は通常の絵柄などに惹かれて所有したいと思う時に比べて、より 観る人個人に寄り添う形になるので作品への思い入れや特別な感情は強くなります。

わたしは現在までに、教室のイメージカラーを取り入れた作品や干支絵、ペットの作品などを依頼の形で制作してきました。

作品自体の特別感に加えて、制作者自身がこれまでどのように生きてきたかや印象の強い活動歴などのライフストーリーが作品に特別感という価値を与える事があります。

他の例を挙げると、似顔絵画家などはいるかと思います。

日本で売れにくい絵の特徴

先ほど、日本で売れやすい絵の特徴は「飾りやすさ」と書きましたが、これとは反対で日本では飾りにくい絵は売れにくい傾向にあります。

【売れにくい絵】大きすぎる作品

コンテストや公募展などでは50号、100号サイズのような大きな作品が求められる事が多いですが日本での販売を目的とする場合、このような大作は不向きな傾向にあります。

先ほども描きましたが、日本と海外との住宅環境の差などから大きい絵は売れにくい傾向にあります。

その場では良いと思っても実際自分の家に飾るとなった時にハードルは上がります。

【売れにくい絵】物理的・精神的に飾るメリットが少ない絵

日本で絵を買う多くの人は何かしらの自分にとってプラスになる理由や感情を持っている事や、社会的に価値の認められているものを資産として所有する事などが主です。

そのため、具体例はたくさん考えられるものの

・技術的に誰でも描けそうな絵

・リアルに描ける画力はあってもとりわけ欲しいと感じる目立った特徴の見当たらない絵

・鑑賞者がマイナスなイメージを抱く可能性のある絵

・知名度の低いオリジナルキャラを描いた絵

・壊れたり展示場所に被害が出る可能性のある絵

のような明確なメリットが見つからず、飾る場所を取るだけと思われる要素のある作品は求められにくい傾向にあります。

国にもよりますが、絵を所有する文化が根付いると言われてる海外に比べ、日本人は所有する為に「~が好きだから」「~を願って」「~の作家の作品が好きだから」のような「理由」や「感情」の部分がより重要になる傾向にあります。

最後に

ここまで「売れる絵と売れない絵の特徴とは【日本で自分で描いた絵を販売する】」のテーマでお伝えして来ましたが、あくまで傾向と方法の一つに過ぎません。

一番絵を描く立場の人にとって重要で意味のある事は

自分が自由に表現したいものを描く事です。

本当に「売れる」の部分だけを目的にするのであれば画像生成AIにそれなりに指示を出せば短時間でそれっぽいデータは出してくれます。

一番の理想は自分の描きたくて描いたものそのままが価値を持つ事ですが、何よりも様々な基盤である自分の感性を曲げて外部の需要に従う必要は無いと私は考えています。

「一般的には飾りにくい」と思われるような作品でも誰かの心に刺さる事もあるでしょう。

自分の世界観や感性を第一に制作して行きましょう。

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最後まで読んで頂きありがとうございました。

プロフィール
この記事を書いた人

2006年3月生まれ幼少の頃より細密、極彩色な自分の脳内だけに存在する空想世界の絵をアクリル絵の具を主に様々な画材で1年に140点以上制作。作品サイズは数㎝のグッズから数ⅿの巨大アクリル画まで様々。高校1年生の時の個展開催以来二人展、グループ展等展示活動を続ける。ターナーアワード、Liquitex the challenge【小松美羽賞】等受賞多数。日々制作の幅は広がり続け、各地での展示、プロジェクトの実現を構想中

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