アクリル画・油絵のキャンバスの選び方|号数とサイズ、特徴などを解説

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こんにちは。画家の宮島啓輔です。

私は普段色々な画材を使用して作品を描いているのですが、一番多く使用している絵の具がアクリル絵の具です。油絵の具の作品もたまに描きますが、乾燥の速さや扱いやすさから最近ではアクリル絵の具が主になっています。

最近では、多くの素材に描け、扱いやすく、学校でも使われる事の多いアクリル絵の具を使って制作する人の数も多いです。

今回は、絵の具を使って制作する時の一番メジャーな支持体(何に描くか)のキャンバスに関する情報を網羅してお伝えして行きたいと思います。

使う画材によっては注意すべき点や失敗しないキャンバスの選び方などを中心にお伝えしていきたいと思います。

キャンバスとは?キャンバスの仕組み

そもそもキャンバスとは何か?の一番最初の部分についてです。(キャンバスが何かを知っている人は読み飛ばして頂いて大丈夫です)

絵の具で絵を描く場合、主に、キャンバス、木製パネル、紙などがあります。

キャンバスの意味は木枠に絵が描けるように下地処理された布(画布)が張られているものというのが一般的な認識かと思います。

既に画布が木枠に張られた商品も多く販売されていますが、自分で木枠や画布、専用の釘を買ってきてキャンバスを自作してコストを抑える事もできます。

キャンバスの布は元々帆船の帆布に使用されていた丈夫な布に色が発色良く塗れるように下地剤を塗ったものになります。

現在では、色々な素材の布が使われていますが、画材屋さんなどで購入できるものは大きく分けて以下の三つくらいになるかと思います。

・麻

耐久性が高く、硬めの質感です。織目もしっかりしており、細目、中目、荒目などで目の粗さが分かれている事が多いです。メジャーな種類で油絵や大きい作品にも向いています。

・合成繊維

ポリエステルなどの化学繊維が使用されており、比較的低価格です。綿などと混紡される事も多く、表面は均一な事が多いです。

・綿

価格も手頃で扱いやすく麻に比べて繊維が細かいので細密描写がしやすい傾向にありますが、油の酸化などの点から油絵にはあまり向いておらず、耐久性が弱い点がデメリットです。

キャンバスの目は基本的には細目・中目・荒目が多いですが、極細目や極荒目なども店舗やメーカーによっては置いてある場合があるので、描きたい絵の細密さや質感によって選ぶ事ができます。

目の粗さの記載が特に無ければ中目の事が多いです。

張りキャンバス・ロールキャンバス・キャンバスボードの違い

先ほどキャンバスが木枠に下地処理した布(画布)を張ったものが一般的と書きましたが、キャンバスのカテゴリーの中では次の三つくらいの商品が販売されている事が多いです。

厳密には下地処理した布(画布)の関連商品です。

張りキャンバス

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張りキャンバスとは、先ほどまでに少し書いてきた画布を木枠に張ったものですが、張りキャンバスの中にも側面で画布を釘でとめたものと、木枠を包み込む形で裏側でとめた裏張りキャンバスがあります。

丸型の裏張りキャンバス

側面に釘やホッチキスでとめられているタイプの商品の方が多いでのすが、額装無しで飾った時に釘を打った所がボコボコで少し見た目がかっこ悪く見える事があるのです。

しかし、裏張りキャンバスの場合、裏でとめられており、側面が平面なので色が塗りやすく、見た目も綺麗なので額装無しで飾る場合のひとつの手段だったりします。

裏張り3Dキャンバス

額装無しでの飾り方の詳しい部分は下の記事で解説しています。

ロールキャンバス

ロールキャンバスは木枠や板に張る前の下地処理をした布そのものの事を指します。

自分でキャンバスを作ったり、作品を丸めて保存したい人のために使われる事が多いです。

細かく切られているものもありますが、大きければ10m程で巻いた状態で販売されています。

キャンバスを張る事が面倒くさい人のために、既に木枠に張られた張りキャンバスが販売されているのですが自分で木枠キャンバスタックス(専用の釘)とキャンバス張り器を使って自作すると結構割安になります。

キャンバスを自作するには少し慣れる必要がありますが、作品が大きくなるほど数千円単位でコストを抑えられるのでおすすめです。

私のキャンバスに描いた作品のほとんどは自分で張っています。

また、木枠に張った作品であればかさばって持ち運びが不便ですが、割れないように描いていれば描いた後に作品を丸めて保存できます。

↑上の大きめの作品は普段は丸めて保存しています。

このような大き目のロールキャンバスに描いた作品は、木枠に張らなくても描く時に板や壁にはりつけてから描く事ができます。

キャンバスボード

キャンバスボードは、キャンバスを厚紙や木のボードに張り付けたもので、木枠に張ったキャンバスに比べて薄く、軽いです。

初心者の練習や短期間で仕上げる作品に適していますが、耐久性は通常のキャンバス比べると劣り、長期の保存にはあまり向いていません。

描く絵の具によって変わるキャンバスの3種類の下地

一見の見た目はあまり変わりませんが、キャンバスの下地は一般的に3つの種類があります。

絵の具と下地が合わないと、絵の具が塗りにくかったり、描いた後に剥がれたりするので購入時には注意が必要です。

半吸収性下地(油性・水性絵の具両対応)

おそらく一番多く画材屋で売られている種類の下地だと思います。水性のアクリル絵の具も油性の油絵の具のどちらの絵の具でも描く事ができます。

絵の具の吸収率がちょうど良い使いやすい下地です。

キャンバス購入時にどのような下地かの記載が無ければ大体はこのタイプの下地の事が多いです。

吸収性下地(水性絵の具向け)

アクリル絵の具や水彩絵の具のような水性絵の具に向いており、吸収力は高いです。

綿キャンバスなどに使われています。

非吸収性下地(油性絵の具向け)

油性絵の具に適した下地です。絵の具の油分を吸い込まないので描いた後に艶が出やすいです。

水性絵の具で油性の上に描くと剥離しやすい性質があるので非吸収性下地の上にアクリル絵の具のようなもので描く事は向いていません。

日本のキャンバスサイズ規格

張りキャンバスや木枠の日本でのサイズ規格です。購入時の目安にしてみてください。

画材屋で多く販売されているのはFサイズです。PやMやSサイズは在庫が無い事も多いです。

人物や風景などと書かれていますが、あくまでイメージや目安の範囲内で呼び方がつけられているだけなのでどの向きでも好きなモチーフを描けます。

「F3号」や「S50号」などと木枠などに表記されているのでそれでサイズを見分けられます。

フランスサイズと日本のサイズではサイズが規格が少し異なるので注意が必要です。

号数F (人物・Figure)P (風景・Paysage)M (海景・Marine)S (正方形・Square)
0号180×140mm180×120mm180×100mm180×180mm
1号220×160mm220×140mm220×120mm220×220mm
SM号227×158mm227×227mm
2号240×190mm240×160mm240×140mm240×240mm
3号273×220mm273×190mm273×160mm273×273mm
4号333×242mm333×220mm333×190mm333×333mm
5号350×270mm350×240mm350×220mm350×350mm
6号410×318mm410×273mm410×242mm410×410mm
8号455×380mm455×333mm455×273mm455×455mm
10号530×455mm530×410mm530×333mm530×530mm
12号606×500mm606×455mm606×410mm606×606mm
15号652×530mm652×500mm652×455mm652×652mm
20号727×600mm727×530mm727×500mm727×727mm
25号803×652mm803×606mm883×530mm803×803mm
30号910×727mm910×652mm910×606mm910×910mm
40号1000×803mm1000×727mm1000×652mm1000×1000mm
50号1167×910mm1167×803mm1167×727mm1167×1167mm
60号1303×970mm1303×894mm1303×803mm1303×1303mm
80号1455×1120mm1455×970mm1455×894mm1455×1455mm
100号1620×1303mm1620×1120mm1620×970mm1620×1620mm
120号1940×1303mm1940×1120mm1940×970mm1940×1940mm
130号1940×1620mm
150号2273×1818mm2273×1620mm2273×1455mm2273×2273mm
200号2590×1940mm2590×1818mm2590×1620mm2590×2590mm
300号2910×2182mm2910×1970mm2910×1818mm2910×2910mm
500号3333×2485mm3333×2182mm3333×1970mm3333×3333mm

メーカーによっては、紙のサイズと同じのA判やB判も販売されていますが、上の表のサイズ規格の方がキャンバスでは主流な印象です。

A判サイズ / B判サイズ
A0 841×1189mm / B0 1030×1456mm
A1 594×841mm / B1 728×1030mm
A2 420×594mm / B2 515×728mm
A3 297×420mm / B3 364×515mm
A4 210×297mm / B4 257×364mm
A5 148×210mm / B5 182×257mm
A6 105×148mm / B6 128×182mm

最後に

今回は、絵画用のキャンバスに関する基本的な情報をまとめてみました。

自作でキャンバスを作る事にこだわると白色の下地だけでなく、カラージェッソを使って色を変えたり、タッチや質感を調整できるのでこだわると奥が深かったりします。

他にもこのサイトでは、画材についての記事をいくつか書いているので是非読んでみてくださいね。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

プロフィール
この記事を書いた人

2006年3月生まれ幼少の頃より細密、極彩色な自分の脳内だけに存在する空想世界の絵をアクリル絵の具を主に様々な画材で1年に140点以上制作。作品サイズは数㎝のグッズから数ⅿの巨大アクリル画まで様々。高校1年生の時の個展開催以来二人展、グループ展等展示活動を続ける。ターナーアワード、Liquitex the challenge【小松美羽賞】等受賞多数。日々制作の幅は広がり続け、各地での展示、プロジェクトの実現を構想中

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