こんにちは。画家の宮島啓輔です。
リキテックスやホルベイン、アムステルダムなど様々なメーカーからたくさんの種類が販売されているアクリル絵の具は絵の具だけでも表現の幅はかなり広いですが、メディウムと合わせて使用する事でよより作者の希望に近づける事ができます。
盛り上げたり、艶を出したりするメディウムだけでなく、特にリキテックス社の製品には特殊な表現ができるメディウムが販売されています。
今回は、「変わった表現ができるアクリル絵の具のメディウムの種類や特徴を紹介」の内容で私が実際に作品に使用しているメディウムをいくつか紹介していきたいと思います。
目次
はちみつのような表現が可能になる「ストリングジェルメディウム」
ストリングジェルメディウムは絵の具と混ぜて使用する事ではちみつで絵を描いたような表現が可能になります。粘りが強いので筆や棒を使って描くと、本物のはちみつのように糸を引いて立体的なラインが引けたり、厚みのある画面作りが可能です。
メディウムが乾いた後も立体感をほぼ保ったまま、少し艶のある画面になるので他の画材ではできない作品の物質感や深みを出す事に向いていると感じました。
膨らんだような予測不能の線が引けたり、絵の具だけでは得られない質感があるのでそれでドローイングしたり部分的に使用するなど、混ぜる量や使用状況によって幅広い応用は可能だと思います。
簡単にパールカラーが作れる「パールメディウム」
パールメディウムは絵の具と混ぜ合わせる事で簡単にパール調のキラキラとした色を自作する事ができます。混ぜ合わせる時の絵の具の量が多すぎるとパール調になりにくいですが、混ぜる色や量も自分の好みに沿った調節が可能です。上手く使用すれば、普通の絵の具では出せない高級感であったり、質感などが表現できるようになります。
また、パールカラーは下地の白や黄色のような明るい色の上に描くよりも黒や深い青のような暗い画面に描く事でより、パールカラーのキラキラ感をより際立たせた表現ができるようになります。
漆喰状の下地が作れる「セラミックスタッコ」
セラミックスタッコは絵の具と混ぜて使用したり塗った後から絵の具を塗ったりする事で、力強いザラっとした漆喰状の表現が可能になります。セラミックスタッコ自体はグレー色なので、セラミックスタッコが乾いてから絵の具を塗ると混ぜる事に比べてきれいな発色で使用する事ができます。
建築物のような石や土の質感の表現や画面を立体的にしたり、マットな下地を作る事などに向いており、ペインティングナイフなどを使用する事で筆には出せないようなタッチで描く事もできます。
私自身は絵画作品にしか使用した事はありませんが、立体模型の土や建物などの表現に使用する人も存在します
柔軟な立体感を作れる「フレキシブルモデリングペースト」
一般的なモデリングペースト(盛り上げ剤)は絵の具と混ぜ合わせたり、乾いた後に絵の具を塗る事で絵の具のみの時に比べて画面に油絵やレリーフのような立体感を持たせる事ができます。リキテックスからも発売されている一般的なモデリングペーストは乾いた後は固くなるので彫刻刀などで削って立体的にすることも可能ですがあまり厚く塗るとヒビ割れの可能性が高くなります。
一般的なモデリングペーストに比べてこのフレキシブルモデリングペーストは柔軟性が高く、ひび割れにくいです。乾いた後に彫刻刀などで削る事は難しいですが、画面に重厚な盛り上げを持たせたい時に最適です。
私であれば上の写真の金色のラインの部分などのように強調して半立体感を表現したいところに、ひび割れの心配をする事無いので、よく使用しています。他にも作品を重くしないためのライトモデリングペーストという商品もリキテックスから販売されています。
最後に
今回「変わった表現ができるアクリル絵の具のメディウムの種類や特徴を紹介」の内容で紹介したようなアクリル絵の具と合わせて使用するメディウムはリキテックス以外にもホルベインやターナーなど色々なメーカーから販売されています。
私はこれまでに色々なメーカーの商品を使用してきましたが、その中でも特にリキテックスの商品は耐光性や耐久性にかなり優れており、メジャーな商品から今回紹介したような特殊な表現ができるメディウムまで多種多用な品揃えです。
商品にもよりますが、20mlチューブサイズなどの内容量の少ないものからの販売もされているので実験的に購入して自分の表現の研究に是非役立ててみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。