個展は、作品を展示するだけでも成立します。
しかし、せっかく会場を借りて、一定期間そこに作品を並べるのであれば、ただ「観てもらう」だけで終わらせるのは少しもったいないとも思います。
会期中に小さなイベントを行うことで、来場者が足を運ぶ理由を増やしたり、作品への理解を深めたり、作家と来場者が直接話すきっかけを作ることができます。
ただし、ここで大事なのは、イベントを自己満足で終わらせないことです。
「何か面白そうだからやる」
「自分が話したいから話す」
「なんとなく賑やかにしたいから企画する」
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
けれども、来場者側から見た時に「なぜ参加したいのか」「自分にどんな関係があるのか」が見えにくいイベントは、思ったほど反応が出ないこともあります。ここから、更に楽しんでもらえるような要素を追加していく必要があるんですね。
それではこの記事では、個展や展覧会の会期中に行えるイベントについて、実例を交えながら書き記していきたいと思います。
目次
- 1 個展会期中のイベントで得られる効果
- 2 効果が出やすいイベントの共通点は「来場者本人に関係があること」
- 3 実例①【来場者を作品の一部にする】似顔絵イベント
- 4 実例②海外で名前を漢字にして描いた路上パフォーマンス
- 5 実例3:誕生石シリーズ 個人との接点を作る商品設計
- 6 作家起点のトークイベントは、ファン向けには効果がある
- 7 チャイを振る舞った個展と
- 8 イベントは「集客用」「滞在時間用」「販売用」に分けて考える
- 9 自分のスキルを掛け合わせてイベント化する
- 10 イベントは小さく試すことから始める
- 11 曜日・時間帯・時期で参加人数は変わる
- 12 イベント開催前に確認すべき注意点
- 13 イベント後は記録を残す
- 14 個展会場を観る場所から体験する場所へ
個展会期中のイベントで得られる効果
個展中にイベントを行うメリットはいくつかあります。
まず、来場する理由を増やせることです。
ただ作品を見るだけであれば、「いつか行こう」と思ったまま来場の優先順位が下がってしまうこともあります。しかし、会期中に何かイベントがあると、「この日に行こう」という理由ができます。
たとえば、
- 作家による作品解説
- ミニワークショップ
- 似顔絵イベント
- ライブペインティング
- トークイベント
- 飲み物のふるまい
- ミニライブ
- 制作実演
こうしたものがあると、来場のきっかけが少し増えます。(もちろん、作品解説は会期全てで行った方が良いです。)
また、イベントを通して来場者との会話も生まれやすくなります。作品を見ているだけだと、来場者も何を話せばいいか分からないことがあります。しかし、イベントがあると、自然に話題が生まれます。
さらに、イベントは作家側にとっても学びになります。
来場者がどの作品の前で足を止めるのか。
どんな質問をするのか。
どんな部分に反応するのか。
どの説明をした時に表情が変わるのか。
こうした生の反応は、ネット上の数字だけでは分かりにくいものです。
個展会場は、作品を見てもらう場所であると同時に、来場者の反応を直接観察できる貴重な機会でもあります。
また、会期中にイベントを行うことで、SNSやブログで発信する材料にもなります。
「個展を開催しました」だけでなく、
「会場でこういうイベントを行いました」
「来場者の方とこういう交流がありました」
「次回もこういう企画を考えています」
というように、活動の記録が残ります。
これは作家として活動している証拠にもなります。
特に、個展を単発の展示で終わらせず、次の展示や販売、ファンづくりにつなげたい場合には、イベントの記録はかなり役立ちます。
効果が出やすいイベントの共通点は「来場者本人に関係があること」
では、どのようなイベントが反応を得やすいのでしょうか。
私が大事だと思うのは、来場者が「これは自分に関係がある」と感じられることです。
言い換えると、来場者本人に接点があるイベントです。
大事なので、もう一度書くと
来場者が「これは自分に関係がある」と感じられること
です。
人は、自分に関係するものに興味を持ちやすいです。
たとえば、
- 自分の顔
- 自分の名前
- 自分の誕生日
- 自分の性格
- 自分の好きな色
- 自分の出身地
- 自分の思い出
- 自分へのメッセージ
こうしたものが入ると、ただ「作家の作品を見る」だけではなく、来場者自身がその場に参加しやすくなります。
分かりやすい例で言うと、MBTIのような性格診断が流行ったのも、かなり近い部分があると思います。
人は、自分のことを知りたい。
自分がどういうタイプなのか知りたい。
自分に合うものを見つけたい。
他人からどう見られているのか気になる。
もちろん全員がそうではありませんが、少なからず多くの人にとって、自分に関係がある情報には興味を持ち、これは原始時代から現代まで変わらない真理です。
そのため、そのような需要にこたえるイベントや作品作りとする
という事も考えられるのです。
だから個展中のイベントを考える時も、単に「自分が何をしたいか」だけでなく、来場者が自分ごととして受け取れるかを考えると、反応が変わりやすくなります。
実例①【来場者を作品の一部にする】似顔絵イベント
知人の初個展やアジアやオーストラリアなど比較的路上販売の規制が緩い国で気づいたことがあります。
それが、似顔絵描きイベントです。
知人の個展では、あらかじめたくさんの知り合いなどの顔を描き、壁に並べて展示していました。そして、会場に来た人の顔もその場で即興で描き、数千円程度で渡すという形式を取っていました。
これは、非常にわかりやすく、効果のあるイベントだと思います。
私も非常に学びになりました。
なぜなら、来場者にとって「自分の顔を描いてもらう」という体験になるからです。
普通の展覧会では、来場者は作品を見る側です。
しかし似顔絵イベントでは、来場者自身が描かれる側になります。
つまり、展示を外からみる側にいた人を、作品の世界の内側に入ってきてもらえる導線がつくられているのです。
似顔絵そのものは昔からある定番の形式ですが、個展会場という規模で行うと、展示全体の一部として、マネタイズ、興味関心を惹きつけるという意味で非常に大きな機能を果たします。
ここで重要なのは、「似顔絵が描ける人は似顔絵をやりましょう」という単純な話ではありません。
もっと抑えておいて欲しい色々な事に応用可能なポイントがあります。
それが、来場者の需要に刺さり、何らかの形で作品や展示に参加してもらうという点です。
似顔絵はその一つの方法です。
実例②海外で名前を漢字にして描いた路上パフォーマンス
私自身の例で言うと、オーストラリアで路上ライブペインティングをしていた時に、外国人の名前を漢字にして書くと言う事をやっていました。
路上で物販のようなことを大々的に行うのは難しい場面もあったので、基本的には無料で、相手の名前を日本語の漢字に当て字して、筆や筆ペンで書いてプレゼントする形です。
詳しくは、以下の記事に書いていますが、一日一万円以上は稼げるほどでした。
ただ、これは私だけがやっている事ではなく、音楽系や書道系の人も多くやっている海外活動の手法です。日本でやれば法律違反ですが、オーストラリアはそのような路上パフォーマンス文化が根付いた国です。
もう少し詳しく書くと、たとえば、外国人の名前を聞いて、その音に近い漢字を当て、意味も含めて説明しながら書いて渡す。
これがかなり喜ばれました。
オーストラリアでは、日本のアニメやゲーム、漢字文化に興味を持っている人も多く、日本語で名前を書いてもらうこと自体が珍しく、特別な体験になりやすかったのだと思います。
ただし、ここで大事なのは、単に「漢字が珍しかったから反応が良かった」ということだけではありません。
これも、より本質的には、相手の名前を扱っていたから強かったのです。
(しかし、日本でこれをやってもプロ書道家でも無い限り難しいので、漢字文化の無いところでやったという前提はあります。)
名前は、その人にとってとても個人的なものです。
その名前が日本の文字に変換され、筆で書かれ、自分だけの紙として渡される。
そこに特別感が生まれます。
まとめると、海外で漢字を書くことが反応を得やすかったのは、日本文化の珍しさと、個人への訴求が重なっていたからです。
これは、個展中のイベントにも応用する事ができます。
自分の文化、技術、絵柄、得意な表現を、来場者本人に関係する形に変換できれば、反応はかなり変わります。
これを読んでいて、何かできそうな事をひらめいた
っという方はそれを大切にして是非実現してみてください。
少し解像度を上げたりわかりにくい点があるという人は私に連絡してくださいね。
実例3:誕生石シリーズ 個人との接点を作る商品設計
では、もう一つ国内で私が実際に行った事例を紹介したいと思います。
私は以前、誕生石をテーマにしたポストカード作品を制作したことがあります。
これも、来場者や購入者との接点を作りやすい例です。
ただ「綺麗なポストカードです」と出すよりも、
「あなたの誕生月の石をテーマにした作品です」
「友人の誕生日プレゼントとして選べます」
という文脈が加わると、選ぶ意味が生まれます。
人は、ただ綺麗なものよりも、自分に関係があり、なおかつ所有したいと思えるものに反応をします。
誕生月、星座、好きな色、名前、出身地、思い出の場所、性格タイプ。等々
または自分で作成した設定でもこうしたものは、作品やグッズと組み合わせやすい要素です。
もちろん、安易に診断コンテンツっぽくすればいいという話ではありません。大切なのは、自分の作品世界と自然につながる形にすることです。
この辺は、作家の制作スタンスや作風によるので一概に言えませんが、来場者個人との接点ができると、作品やグッズはただの物ではなく、意味のあるものとして受け取られやすくなります。
作家起点のトークイベントは、ファン向けには効果がある
一方で、作家自身の体験や考えを語るイベントもあります。
とえば、私は個展中に、インドを旅した経験について話すイベントを行ったことがあります。
インドで見たもの、作品が生まれた背景、旅の中で感じたことなどを話す内容です。実際に来てくれた方もいましたし、失敗だったとは思っていません。
ただ、ものすごく大成功だったかというと、そこまではいかなかったとも感じています。
理由は、インドというテーマが、初見の人にとっては少し接点が薄かったからです。
すでに私の作品や活動に興味を持ってくれている方にとっては、インド旅行の話や制作背景は面白いものになります。
しかし、まだ私のことをあまり知らない人にとっては、「インドの話を聞きに行く理由」が少し弱い場合もあります。
もう一つの理由は、長期休みでは無く、土曜日にやったと言う事も挙げられます。
「日曜日だったら行けたのに~」と仰られる方もいました。
ここで分かるのは、イベントには大きく分けて、初見向けとファン向けがあるということです。
初見向けのイベントは、作家をまだ知らなくても参加しやすいものです。
たとえば、
- 似顔絵
- 名前を漢字にする
- 誕生月カード
- 簡単な制作体験
- 飲み物のふるまい
- ミニワークショップ
こうしたものは、作家を深く知らなくても「ちょっと参加してみよう」と思いやすいです。
一方で、ファン向けのイベントは、作家本人や作品背景に興味があるほど楽しめるものです。
たとえば、
- トークイベント
- 作品解説会
- 旅の話
- 制作秘話
- 未公開作品の紹介
- 過去作の裏話
こうしたものは、すでに関心を持っている人には深く届きます。
しかし、初見の人を呼び込む入口としては、少しハードルが高い場合があります。
だから、トークイベントが悪いということではありません。
大事なのは、そのイベントが誰に向けたものなのかを考えることです。
初めて来る人を増やしたいのか。
すでに応援してくれている人との関係を深めたいのか。
作品購入を検討している人に背景を伝えたいのか。
会場の滞在時間を伸ばしたいのか。
目的によって、イベントの形は変わります。
チャイを振る舞った個展と
インドのトークイベント自体は、初見向けとしては少し入口が狭かったかもしれません。
しかし、その個展期間中全体で行って良かったと感じていることもあります。
それが、インドで買ってきたチャイを会場で振る舞ったことです。
インドを旅した時、私は現地でチャイの茶葉を買ってきました。実はその茶葉にも、リキシャでお土産屋に連れて行かれ、値切り交渉をしながら買ったというエピソードがあります。
そのチャイを、個展会場で作って来場者に無料で振る舞いました。
ミルクや鍋などがあれば作れるので、準備としてはそこまで大がかりではありません。来場者の方には、チャイを飲みながら作品を見てもらいました。
これはかなり良かったです。
なぜなら、展示が視覚だけではなくなるからです。
絵を観る。
チャイの香りがする。
温かい飲み物を飲む。
そのチャイを買った時のインドでの話を聞く。
もう一度、インドで生まれた作品を見る。
という流れが起こります。
映画館で映画を見る時にポップコーンを食べる人がいるように、サッカー観戦でお酒を飲む人がいるように、体験は五感と結びつくと記憶に残りやすくなります。
個展も同じです。
もちろん、作品は視覚芸術です。
しかし、展示空間そのものは、視覚だけでなく、音、香り、温度、会話、滞在時間まで含めて作ることができます。
特に、旅や土地をテーマにした展示であれば、その土地の飲み物や音楽、写真、素材などを組み合わせることで、世界観を立体的に伝えられます。
ただし、飲食を出す場合は注意も必要です。
会場によっては飲食が禁止されている場合があります。
火気や電気ポットが使えない場合もあります。
飲み物を作品の近くでこぼされるリスクもあります。
アレルギーや衛生面にも配慮が必要です。
ゴミの処理や匂いの問題もあります。
そのため、飲食を出す場合は、必ず事前に会場の規約を確認してください。
できるなら、作品から少し離れた場所に飲食スペースを作る。
紙コップや蓋付きカップを使う。
ゴミ袋を用意する。
ミルクやスパイスを使う場合は、苦手な人やアレルギーがある人に配慮する。
こうした準備をしておくと、安心して行えます。
イベントは「集客用」「滞在時間用」「販売用」に分けて考える
イベントを考える時は、目的を分けて考えると整理しやすくなります。
大きく分けると、
- 集客用
- 滞在時間用
- 販売用
の3つがあります。
集客用イベント
先ほども、少し書いた内容ですが、集客用イベントは、「この日に行こう」と思ってもらうためのものです。
たとえば、
- 似顔絵イベント
- ワークショップ
- ミニライブ
- トークイベント
- ライブペインティング
- 制作実演
などです。
イベントがあることで、来場の理由ができます。
特に会期が長い場合、何もない日が続くよりも、イベント日がある方が告知しやすくなります。
滞在時間用イベント
滞在時間用イベントは、会場で長く過ごしてもらうためのものです。
たとえば、
飲み物のふるまい
作品解説
制作資料の展示
座って見られるスペース
音楽や空間演出
作家との会話時間
等々です。
滞在時間が長くなると、作品をじっくり見てもらえる可能性が高まります。
会話も生まれやすくなります。
作品購入は、数秒で決まることもありますが、多くの場合、作品の前で時間を過ごしたり、作家と話したりすることで気持ちが深まることもあります。
販売用イベント
販売用イベントは、作品やグッズの購入につながりやすいものです。
たとえば、
- その場で描くミニ作品
- 名前入り作品
- 誕生月カード
- 限定ポストカード
- ワークショップ後の関連グッズ販売
- オーダー受付
などです。
ここで大事なのは、露骨に売り込むことではありません。
自然に買う理由が生まれる形にすることです。
たとえば、誕生月カードなら「自分用」「友人への誕生日プレゼント」として選びやすくなります。
名前入り作品なら「自分だけのもの」という特別感が生まれます。
ワークショップで使ったモチーフのポストカードがあれば、体験の記念として買いやすくなります。
このように、イベントと販売は切り離す必要はありません。
ただし、販売を前面に出しすぎると、来場者が身構えてしまうこともあります。
あくまで、体験の延長に自然な販売導線を置くことが大事です。
自分のスキルを掛け合わせてイベント化する
イベントは、必ずしも大きなものである必要はありません。
自分の持っているスキルを、来場者が参加できる形に変換すれば、それだけでもイベントになります。
たとえば、絵を描ける人なら、
- 似顔絵
- ミニ原画制作
- その場で色を選んで描く
- 来場者の名前から図案を作る
- 好きな動物をモチーフにした小作品
などが考えられます。
音楽もできる人なら、
- 作品に合わせたミニライブ
- 即興演奏
- 展示空間のBGM制作
- 音と絵を組み合わせたイベント
もできます。
アクセサリーを作っている人なら、
- パーツ選びワークショップ
- 簡単な制作体験
- 自分の色に合わせたアクセサリー提案
なども可能です。
文章を書くのが得意な人なら、
- 来場者の印象から短い言葉を書く
- 作品に合わせた詩を書く
- 名前から短いメッセージを作る
という形も考えられます。
旅をしている人なら、
- 現地の飲み物を振る舞う
- 旅の写真を見せる
- 作品と旅のエピソードを話す
- 現地で買った素材を展示する
という方法もあります。
教えるのが得意な人なら、
- ミニ講座
- 素材紹介
- 制作実演
- 初心者向けワークショップ
も良いと思います。
ここで大事なのは、自分のスキルをそのまま見せるのではなく、来場者が参加できる形に変えることです。
たとえば、「私は音楽もできます」と言うだけでは、来場者にとっては受け身の体験です。
しかし、「この作品に合わせて短い即興演奏をします」や「来場者に詩を送ります」となると、参加性が出ます。(すでにその価値が伝わっている必要があります。)
「私は旅をしてきました」と話すだけでは、すでに関心がある人向けです。
しかし、「旅先で買ったチャイを飲みながら作品を見てもらう」となると、初見の人でも参加しやすくなります。
ほんの少し視点をずらすことが大事になります。
イベントは小さく試すことから始める
初めて個展中にイベントを行う場合、最初から大きくやろうとしなくていいです。
むしろ、小さく試す方が良いです。
- 1日だけ行う
- 2時間だけ行う
- 予約制にする
- 先着5名にする
- 無料で試して反応を見る
- 投げ銭制にする
- 500円〜1,000円程度の低価格で試す
- 展示の邪魔にならない規模にする
このくらいで十分です。
イベントを大きくしすぎると、準備が大変になります。
作家本人が疲れすぎることもあります。
作品を見てもらう時間より、イベント対応に追われてしまうこともあります。
そして失敗した時のリスクや手間なども考慮して
少しずつ試し、自分の型をみつけていきましょう。
個展の中心は、あくまで作品です。
イベントは、作品をより深く見てもらうための補助線です。
イベント自体が目的になりすぎると、展示全体のニュアンスが少し変わってくるという点もあります。
だからこそ最初は、無理なくできる範囲で試すのが良いです。
やってみて反応が良ければ、次回以降に大きくしていくイメージを持っておきましょう。
曜日・時間帯・時期で参加人数は変わる
少し、細かい話になりますが、イベントを行う時は、内容だけでなく、日程もかなり大事です。
どれだけ良い企画でも、来場者が来られない日程に置いてしまうと、参加人数は伸びにくくなります。
私自身、個展中にイベントを行った時に、日程の重要性を感じました。
それまでの個展では、3月末など、春休みに近い時期に開催することが多かったのですが、ある時は3月初旬に開催しました。すると、平日は仕事や学校がある人にとって来づらく、来場者が少なくなりやすいと感じました。
また、これまでは二週間と期間を大きくとっていましたが、一週間にした際は、休日が土日の2日だけになってしまいます。
イベント後に、「あと数日ずれていたら行けた」「日曜日なら行けた」という声をいただいたこともあります。
基本的には、
- 土日祝
- 会期の中盤から後半
- 初日や最終日前日
- SNS告知から数日空けられる日
- 13時〜16時頃の来やすい時間帯
などが候補になります。
もちろん、来てほしい層によっても調整はできます。
学生に来てほしいなら、授業や試験期間を避ける。
社会人に来てほしいなら、平日の昼より土日や夕方を考える。
家族連れに来てほしいなら、休日の昼間が良いかもしれません。
来場者が来やすい時間を考えることが大事です。
イベント開催前に確認すべき注意点
イベントを行う前には、必ず確認しておくべきことがあります。
まず、会場の規約です。
特に確認したいのは、
- 飲食は可能か
- 火気は使えるか
- 電気ポットや鍋は使えるか
- 音出しは可能か
- ワークショップは可能か
- 参加費を取ってもよいか
- 物販は可能か
- 写真撮影は可能か
といった点です。
会場によっては、飲食や音出しが禁止されていることもあります。
ギャラリーによっては、物販やワークショップの扱いにもルールがあります。
次に、運営面です。
- 一人で対応できる人数か
- 予約制にするか
- 当日参加にするか
- 参加時間はどれくらいか
- 参加費はいくらにするか
- 釣り銭やQR決済を用意するか
- 必要な道具は何か
- 片付けは簡単か
このあたりも考えておく必要があります。
また、展示への影響も大事です。
- 作品を見る邪魔にならないか
- 混雑しすぎないか
- 飲み物をこぼす危険はないか
- 音が作品鑑賞の邪魔にならないか
- 他の来場者が入りにくくならないか
イベントは、展示を豊かにするためのものです。
イベントによって、作品が見づらくなったり、静かに見たい人が居づらくなったりすると、本末転倒です。
さらに、SNSや記録についても考えておくと良いです。
- 写真を撮ってよいか
- 来場者の顔を載せてよいか
- 感想を引用してよいか
- イベント後にブログやSNSで報告するか
特に人の顔が写る写真を投稿する場合は、必ず許可を取るべきです。
イベント後は記録を残す
ベントは、その日で終わらせるともったいないです。
写真、動画、感想、SNS投稿、ブログ記事など、記録として残せるものはたくさんあります。
たとえば、
- イベントの様子の写真
- 参加者の感想
- 完成した作品の写真
- 会場の雰囲気
- 作家自身の振り返り
- 次回への改善点
等々の記録やそこから得られた学びは次回の告知や普段の発信にも使えます。
最初から上手くいく事はありませんし、色々な気づきから自分の型を洗練していく過程にも大きな価値があります。
そして、その振り返りやそこで得た学びを情報として発信する事で、それを観た人がためになると思ってくれたり、共感をしてもらえると活動の幅も広がっていきます。
何より、イベントの記録は作家としての活動実績にもなります。
「この人はこんな事をしてきたんだな」と作家としての積み上げを示す事が出来るのです。
個展会場を観る場所から体験する場所へ
個展は、一般的な定義では作品を鑑賞する場所です。
しかし、それだけではなく、もっと上位概念で考えた方が良いと思います。
作家と来場者が出会う場所でもあり、作品の背景を伝える場所でもあり、来場者が自分自身と作品を結びつける場所にもなります。
イベントは、その接点を増やすための手段です。
ただし、大事なのは、もし人を呼ぶという意識する場合、作家の自己満足で終わらせないことです。
来場者が「自分に関係がある」と感じられるか。
作品の世界に参加できるか。
その場でしか味わえない体験があるか。
会場に来る理由が増えているか。
この視点で考えると、イベントの作り方はかなり広がります。
今回は、少し長めに書いてきましたが、似顔絵でも、名前でも、誕生月でも、チャイでも、音楽でも、ワークショップでも構いません。
大切なのは、自分の表現と来場者の接点を作ることです。
ここまでの話をまとめると、
個展会場を、ただ絵を見る場所から、記憶に残る体験の場所に変える。
そのために、会期中のイベントはかなり有効な手段になります。
最初から大きなことをする必要はありません。
小さな企画で構いません。
来場者の名前を書く。
好きな色を聞いて小さなカードを作る。
制作の一部を実演する。
旅先で買った飲み物を振る舞う。
作品の前で短く解説する。
会場に来た人が参加できる仕掛けを一つ作る。
等々、アイデアはいくらでも思いつきます。
作品を観てもらうだけではなく、作品のある空間を設計し、そこで何かを体験してもらう事の積み重ねが、来場者の記憶に残り、興味や関心へと繋がります。
では、今回はここまでになります。
何かわかりずらい点や実際に開催するにあたっての相談などがあれば是非ご連絡くださいね。

