ここでは、私が実際に国内外の美術館や観光地に訪れ、心理学や人間行動学、博物館経営の書籍を読み漁って導き出した内容をお伝えしていきたいと思います。
多くの美術館や観光地は、この販売戦略を組み込んでいます。
たまに、「芸術とお金を結びつけるな!清貧こそがあるべき姿だ」と言う人がいますが、お金は活動を支え、対価として行う上で、切っても切れないものです。
チリのイースター島は、モアイ像だけで食べていますし、エジプトは、数千年前の人がつくった遺跡の観光ビジネスが半永久的な収入源になっています。
個人クリエイターにおいても、これらの観光・博物館ビジネスから学べる事はあるんですね。
それでは、個人単位でも有効で、今後の企画作りに取り入れられるその考え方を書き記していきたいと思います。
「芸術」や「文化」をマネタイズするとは
少し、本題から逸れた話をします。
日本は、芸術作品にお金を払うという感覚があまり浸透していない国のひとつと言われています。
欧米圏では、絵画作品は、家具と同じ感覚で購入するという話もあります。
そして、実際に私がオーストラリアで路上パフォーマンスをしていた時も、別の要因があるかもしれませんが、食いつき度の違いや温度差も感じました。
しかし、
日本は、漫画やアニメといった強力なコンテンツを持った文化大国です。
漫画・アニメの市場規模が国内より、海外の方が大きいとされるくらいに強い産業のひとつです。
これは、海外のどの国でも強く感じました。
詳しくは以下の記事に書いています。
そして、これを読んでいる人の中の多くの人は美術館に行った事はあると思います。
つまり、先ほど「日本は、芸術作品にお金を払うという感覚があまり浸透していない国」と書きましたが、決して芸術に関心の無い国では無いのです。
むしろ芸術を身近に感じ取っている国です。
浮世絵や歌舞伎、劇画、能楽など、大衆文化としてボトムアップ型(大衆主体)で発展した背景があります。
逆に、欧米圏では、一部富裕層や教会が一点ものの原画を買う文化だったことから、原画一点もの販売が画家の職業のイメージが定着し、今の日本もその在り方が画家の活動と考えている人も多いのです。
そのため、漫画やゲーム、アニメはよく観たり買ったり、美術館に行ったりはするけれど、個人芸術家の絵を買うという事に慣れていない面も多いのです。
個人活動の画家が取り入れられる「お土産戦略」
ここまで少し前置きが長くなりましたが、
結論を述べると「お土産戦略」が非常に効果的な販売戦略になります。
まだ、ざっくりとしすぎているので一つ例を出してみます。
観光地や美術館に訪れた時の事をイメージしてみてください。
自分であっても他人であっても大丈夫です。
観光地であれば、ガイドブックに載っている名所に訪れたり、景色を見たり、食べ物を食べたりといった体験をするでしょう。
美術館に訪れたとすると、パンフレットに載っていた目玉作品を観たり、一枚ずつ館内を歩いて巡って鑑賞をします。
そして、これらの流れの中で、人は色々な体験をしています。
綺麗だな、美味しい、また来たいな、名産品を食べた等々、感情が動く体験をします。
そして、ここからが重要ポイントです。
人は、それらの感情が動いた体験を形に残したいと考えます。
そこで、美術館であればポストカードや展覧愛図録、観光地であればその土地に関連する置物や雑貨、食器などを購入します。
電気の通った現代で使う事はほとんどない地名の入った提灯を買ってくる例もまさにそれです。
普段生活していて、「提灯が必要だから買おう」となる事は非常に稀です。
これは、提灯自体の性能や機能で買っているわけではなく、「ここに行った」という体験や記憶を形として残すために買っているのです。
では、ここまでの話をまとめると、
物の価値ではなく、体験の価値として買っている
という事です。
これが、世界の美術館や観光地が取り入れているお土産戦略の本質です。
これを構造にしてみると非常にシンプルです。
体験→感情が動く→それを形に残したい→物を買う
という流れです。
お土産=体験記録物という事になります。
画家が展覧会にお土産戦略を取り入れる方法
ここまで読んでピンときた人はそれを大切にしてください。
では、この「お土産戦略」を個人の画家が形にするにはどうすれば良いのかというと、
先に商品を売ろうとする事ではなく、
記憶に残るような体験を展覧会会場で設計することになります。
私の場合であれば、「非日常を提供する」という事を意識しています。
個人で、ディズニーランドをつくるようなイメージですね。
作品の視覚情報だけでなく、役に立ったり興味深い話をする事、私の最近の例では旅先で購入した飲み物を提供したり、とにかく来た人に楽しんでもらう事を意識します。
そうする事で、その体験を形に残したいと思った人が何か商品を購入してくださる
という事がおこります。
個展であれば、ただ作品を並べるだけよりも、世界観を設計するという考えのもとにつくり上げると、作品が、鑑賞物+αで、その体験を持ち帰れる記録物としての役割を持ちます。
誤解を生む表現になるかもしれませんが、
「芸術作品」は、食べ物や生活用品などのように、絶対必要な需要のもとに購入されるもので無い事がほとんどです。
率直に言うと、無くても困りません。
また、質の高いものに満ち溢れた現代においては、「需要中心で購入される物」であっても、その商品や発売者のファンである事や、体験価値などを元に購入される事が増えています。
品質の高さは当たり前の現代では、それ以上の価値を提供できる事の重要性が増しています。
では、ここまで「画家が取り入れられるお土産戦略」についてお伝えしてきました。
単純に、「絵を商品としてそのまま売ろう」と考えるより、視点をずらす事で同じものでも新しい価値を生む事ができます。
少しまだわかりにくいという人は、私に直接連絡してくださいね。
それでは今回の記事は以上になります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

